ニュース&インタビュー
CG/ANIMATION
2025.10.28
「自分の作品が世に出る」ことの喜びと責任。『ワールドダイスター 夢のステラリウム』チーム HAL卒業生にインタビュー
2023年のリリース以降、話題を集め続けているスマートフォン向けリズムゲーム『ワールドダイスター 夢のステラリウム』(通称:ユメステ)。本作の制作にも、HALの卒業生が携わっています。2025年度の産学連携ケーススタディにて、本作とCG・デザイン・アニメ4年制学科 4年生がコラボした縁もあり、同じ作品を異なる立場で支える3人に、制作の裏側と“つくる”ことへの想いを聞きました。
株式会社KMS
キャラクターの個性が光る、青春群像劇
Q. 「ワールドダイスター」の魅力とは?
陳さん
一番の魅力は「キャラクター像」だと思います。誰もが主役になれる舞台で、それぞれが夢を叶えるために「演劇」をしている。その姿と「センス」と呼ばれる異能力が掛け合わさることで、観る人の心を掴まずにはいられない。「夢を追い続ける少女たちの物語」そのものが、古くから続く普遍的でロマンチックなテーマだと思います。
Kさん
ワールドダイスターは“超演劇時代”と呼ばれる程演劇がブームしている世界で、演じ手たちの頂点「ワールドダイスター」を目指す少女たちの物語です。青春群像劇×演劇というテーマに心惹かれる方も多いのではないでしょうか。また、キャラクター原案は大人気イラストレーターのMika Pikazo先生が担当されており、ビジュアルにもとても惹き付けられると思います! とにかく可愛いキャラクターが出てくるゲームがやりたい!という方にも自信を持ってオススメできます。 もちろん、リズムゲームとしてもお楽しみ頂けます。最新の人気楽曲も収録されていますし、オリジナル楽曲もめちゃくちゃ良いので、少しでも興味のある方は是非一度遊んでみてください!僕は全然リズムゲームは出来ません!(笑)
岡南さん
キャラクターの背景を知ってから楽曲を聞くと歌詞の意味や歌い方にも着目出来て魅力が深まるのでオススメです!
Q. 今の仕事の面白さややりがいは何ですか?
Kさん
1番は自分が制作した物がゲームに実装されることですね。 ソーシャルゲームはずっと好きでプレイし続けてきたので、自分が作ったものがゲームの中に登場するととても嬉しいです。 またゲームに実装される際はアニメーションやデザインなど様々な要素と組み合わせて頂くことで自分1人の力では作れない魅力的な物にして頂けるので、制作中は最終的にどんなものになるのかワクワクしています。 もちろんユーザー様からの反応もとてもやりがいに感じていて、喜んでいただければ嬉しいですし、逆にあまり喜んでいただけなければとても悔しいです。そんな風に一喜一憂出来るのも、この仕事の面白さの1つだなと思います。
岡南さん
制作過程の全ての工程において、自分で真剣に考えて取り組んでいるからこそ、完成した作品にはとても愛着が湧きます。とにかく楽しくて、自身の成長にも繋がっていると感じます。
陳さん
自分が思う「かっこよさ」や「エモさ」を、自由な解釈で表現できることです。 映像は物語を語る手段であり、ある意味「物語の具現化」だと思っています。HAL時代から「人の心を動かせる映像を作り続けたい」という目標を持ち、その想いが今の原動力になっています!
Q. HALで学んだこと・経験したことで、今の仕事に特に役立っていると思われるのはどんなことですか?
岡南さん
明確に感じているのは、HAL在学中に多くの人と出会い、様々な作品に触れたことで感性が磨かれたという点です。 演出の善し悪しのほとんどを言葉で説明できるようになり、「言語化はできないけど、なんかこの演出は微妙だからやめよう・・・」などといった判断が出来るようになったのは、間違いなくHALで作品にたくさん触れた経験が大きく影響していると思います。
陳さん
正直に言えば、当時の自分は3DCGをあまり真面目にやっていませんでしたね(苦笑)。AE(Adobe After Effects)に全力投球していて、「3DができなくてもAE一本でなんとかなる」と思い込んでいたんです。今思えばそれは傲慢で、ある意味「青春の意地」だったのかもしれませんね・・・。それでも、HALで磨いた感性や、周囲からのインプットがあったからこそ、今ではBlenderを現場で使いこなせるようになっています。 授業で得た知識や、仲間たちと切磋琢磨した経験がすべて土台になっていると感じます。特に、同じ夢を持つ仲間や「ライバル」と呼べる存在と一緒に競い合い、刺激し合えた環境は何よりも貴重でした。
Kさん
僕の場合は4年制だったということもあり、2年生の前期までは3Dモデリング、デッサン、イラスト、Webデザイン、動画制作などCGに関するあらゆる分野の授業を受けていたのですが、幅広く学んだからこそ沢山のことが仕事に役立っています。
雷に打たれたような衝撃
Q.HALに入学したきっかけを教えてください。
陳さん
聞いちゃいましたね?(笑)実は自分とHALの縁はすごく昔に遡るんです。 もう10年ほど前、まだ中国に住んでいた15歳の中学生の頃、YouTubeで偶然出会ってしまったんですよ――Project HALに。 動画を見た瞬間に雷に打たれたような衝撃を受けました。 「映像って、こんなにも人の心を揺さぶれるんだ…!」 「かっけー!俺もこういう映像を作りたい!」 その瞬間から進路は決まりました。親には大反対されましたが・・・(笑) 留学を決意して日本へ渡り、一直線にHAL東京を目指すことに。周りが大学受験の準備をしているなかで、自分は「絶対にここに行くんだ」と夢中で突き進んでいました。今振り返っても、あの時の衝撃と感動がなければ、きっと今の自分は映像を仕事にしていなかったと思います。だからこそ、HALには感謝の気持ちしかありません。自分の原点であり、人生を大きく動かした出会いでした。
Kさん
元々絵を描くのが好きだったのですが、高校生の時に作った作品にたまたま多くの方から反応を貰う機会があり、それがきっかけで「人の心を動かす作品作り」を仕事にしたいと思うようになりました。 当時は作品作りがどのような仕事に繋がるのかよく分かっていなかったので、体験入学でクリエイターとしてプロになるにはどうすれば良いのか具体的に教えてくれそうだと感じたことと、2年制では十分な技術力が身につくか不安だったので4年制も設けているHALに入学することに決めました。
岡南さん
高校3年生の時、文化祭で動画編集を担当したのがきっかけです。先生や友達、さらには知らない人からも「この編集すごい!」と褒めてもらえたことがとっても嬉しく。当時は別の大学を目指していたのですが、元々MVなど映像が好きだったことから映像制作を学べるHALへの進学を決めました。
Q.在学当時の想い出を教えてください。
岡南さん
やはり卒業制作です。まだ社会人一年目の自分が言うのもあれですが、あれほど作業量、精神的にも大変な経験は、 今後そうそうないだろうなと(笑) それなのに何故一番の思い出なのかというと、もちろんチームがHAL大賞と特別賞のダブル受賞を達成したというのもありますが、自分の成長を明確に感じられたからです。単純に創造力という点でも成長を感じましたが一番は精神性、心がとっても成長した気がします。あの経験を乗り越え、加えて成果を出せたことで、今は何においても「大体大丈夫、頑張ろう。」という強い心と自信がつきました。今の仕事で新しいことに積極的に取り組み、提案を繰り返し、日々成長を続けられているのは、卒業制作のおかげだと思っています。
幽玄と怪奇舞う「夢幻能・両月」 新しくも、古くあれ。
卒業制作展「未来創造展2025」にて、最優秀賞である「HAL大賞」に加え、「ABEMA」の人気番組『ホロごえっ!』から白上フブキさん、悠木碧さんが審査員を務めた特別賞を受賞した作品です。
Q.最後に、後輩たちにエールをお願いします!
Kさん
楽しいことも大変なことも色々なことがあると思いますが、睡眠と、運動と、楽しむことを忘れずに良い経験を沢山積んでいってください!応援しています!
岡南さん
自信って大事です。ほんと。 「出来るでしょ」と思って制作するのと、「無理かも…」と思って制作するのでは完成品に雲泥の差が生まれます。 中々上達しないと感じたり、スランプが来たり、他の人と比べちゃったり。色々大変だと思うけど大丈夫!たまに視点を変えつつ続けていけば絶対なんとかなる!でも思いつめすぎてもダメだからいざという時の相談する人は決めておこう!頑張って!
陳さん
やりたいことは全部やっていいし、もっと欲張ってもいい。HALには天才がたくさんいるけど、自分自身を定義できるのは君だけだ。他人の評価に縛られる必要はない。 クリエイターにとって「絶対的な正解」なんて存在しない。でも基礎を軽んじていいわけでもない。先生から学んだことはただ真似するのではなく、その仕組みを理解することが大切だ。 そして何より、楽しんで制作すること。自分自身が「かっこいい!」「楽しい!」と思えないものは、絶対に他人の心を動かすことはできないからだ。 頑張れ、未来のクリエイターたち。
■『ワールドダイスター 夢のステラリウム』
ゲームアプリ『ワールドダイスター 夢のステラリウム』はiOSとAndroidで展開するスマートフォン向けリズムゲームです。TVアニメ『ワールドダイスター』に登場した劇団「シリウス」をはじめ、「銀河座」、「劇団電姫」、「Eden」といった4つの劇団が登場!個性豊かなキャラクターと共に『ワールドダイスター』の舞台を楽しむことができます!
株式会社KMS
「世界中に新しい体験を。」というビジョンのもと、ゲーム開発事業などを展開するエンターテインメント企業。 ゲーム事業では『ワールドダイスター 夢のステラリウム』『天啓パラドクス』『オトギフロンティア』など5つのタイトルを手がけ、自社内製にこだわり、迅速な開発体制を整えている。 また、ゲーム事業で培ったノウハウを生かし、AIソリューション事業・デジタルコミック事業・クラウドソリューション事業などにも展開している。
(左)岡南 陸愛さん
HAL東京 CG・デザイン・アニメ4年制学科 CG映像コース 2025年卒 【マーケティング部/動画クリエイター】 主にYouTubeショート用動画やオリジナルMVなどの制作を担当。
(中央)K・Yさん
HAL東京 CG・デザイン・アニメ4年制学科 グラフィックデザイン・イラストコース 2025年卒 【ゲーム事業部/イラストレーター】 主にSSRポスター※のイラストや衣装デザイン、アクセサリー、スタンプなどのアイテム類、1コマ漫画などイラストレーターとして多岐にわたって担当。(※ゲーム内の特別レアアイテム)
(右)陳 軼洲さん
HAL東京 CG・デザイン・アニメ4年制学科 CG映像コース 2023年卒 【マーケティング部/動画クリエイター】 主に外部広告用映像や、PR用コンテンツの映像を担当。