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チームで挑んだ大舞台
CGデザイナーとして成長を実感

CG/ANIMATION
長谷川 健太
太陽企画株式会社 +Ring デジタルアーティスト/CGデザイナー
CG映像学科/2016年卒業

入社後、早々からビッグプロジェクトに抜擢

テレビCMを中心に様々な映像作品を手がける制作会社・太陽企画に入社して2年半。長谷川健太さんは、これまでに国際的に活躍するアーティストのミュージックビデオや大手化粧品メーカーのテレビCMなど数多くのビッグプロジェクトに関わってきた。デジタルアーティスト(CGデザイナー)として忙しい日々を過ごす長谷川さんは、「今が人生で一番楽しい」と笑顔で言い切る。

長谷川さんがCGに興味を持ったのは高校時代。将来、どんな働き方をしたいかを考えたとき、真っ先に浮かんだのが「スーツで働きたくない」ということだった。その条件に合う仕事を調べるうちに、興味を惹かれたのが映画やTVといった映像業界。中でもCGという表現方法に強く惹かれた。
「様々な映像表現の中で、唯一どうやってつくられているのか全くわからなかったのがCGでした。逆に興味が出てきて、勉強してみたいなと思ったんです」。

しかし、当時の長谷川さんは部活動のテニスに打ち込んでいたスポーツ少年で、PCの操作も全くわからない機械音痴だったという。
「そんな自分がしっかりCGを学ぶためには、4年制で学べるHALがいいと思いました」。

「PROJECT HAL」の一員としてHALのテレビCM制作を経験

全くの初心者からのスタートだったが、教官の丁寧な指導や同じ夢を追う仲間たちとの切磋琢磨を通して、長谷川さんは実力をつけていった。3年次の担任が、たまたま元太陽企画のCGデザイナーだったこともあり、技術だけでなく働き方や業界の特性などを学ぶことができた。

何よりも得難い経験だったのは仲間たちとのチーム制作。特に2年生の時に経験した「PROJECT HAL」は、東京、大阪、名古屋、各校の学生がそれぞれチームを組み、プロと同じスケジュールでプロと同じクオリティのHALのテレビCM制作に挑むという前代未聞のチャレンジだった。株式会社白組のディレクター岩本晶氏のもと、チームの一員として最後までやり遂げたことは、今でも長谷川さんの誇りだ。

在学中、2015年のHALのテレビCMを学生が制作する「PROJECT HAL」に参加。長谷川さんはキャラクターや背景に動きをつけるアニメーションやコンポジットを担当した。

言葉に表れない要望こそ良い提案を生む鍵になる

学校を卒業後、太陽企画に就職を決めたのは「幅広いジャンルの映像をつくりたかったから」という長谷川さん。CM映像を中心にミュージックビデオやプロジェクションマッピングまで手がける太陽企画は、まさに長谷川さんが求める職場だった。

入社後、長谷川さんは即戦力として自社コンテンツのプロモーションムービーの制作にCGデザイナーとして携わり、さらに某大手企業のWEB CM制作メンバーにも抜擢される。「配属されたのが6月後半で、7月にはもうクライアントとの打ち合わせに参加し意見を求められました。大変だけどやりがいがあって成長できた実感があります」。

規模にもよるが、映像制作は1人ですべてを完結できる仕事ではない。どんなに少人数でもCGプロデューサーとCGデザイナーの2名は必要であり、多くの場合は複数人のCGデザイナーをCGディレクターが統括する形でチームを構成する。そこに外注として別会社やフリーランスが関わることも多く、円滑に進めるためには日々のコミュニケーションが非常に重要だ。
「映像制作の世界は本当に色々な人が関わって作品ができあがっていきます。監督との打ち合わせはもちろん、撮影データをカメラマンとやりとりしたり、ライブイベントで流す映像なら、システム担当やプロジェクタ担当の方々とも密にやりとりしなければいけません」。

社外だけでなく、チーム内でのコミュニケーションも欠かせない。常に意思統一しておかないと、いつの間にかお互いの考えがズレてプロジェクトが暗礁に乗り上げるリスクもあるからだ。

そうならないように長谷川さんが意識しているのは、「相手の意図や考えをきちんと汲み取る」ということ。それは会話やメールだけにとどまらない。
「 絵コンテの演出の意図は何なのか、なぜクライアントはこの修正を指示してきたのか、そういったことを考えることも大切です」。

指示は具体的とは限らない。クライアント自身も何がベストなのかわかっていないこともよくあるという。そんな潜在的な相手の要望を掘り起こし、より良いものをこちらから提案する力も必要だ。それがHALと太陽企画で学んだ仕事の極意なのである。

一番の思い出はテレビの生放送
仲間と一緒だったから頑張れた

これまでの仕事で最も長谷川さんの思い出に残っているのが、テレビの生放送で使用されたCGの仕事である。納期ぎりぎりまで制作し、そのまま流れこむように挑む放送当日は、出演者やカメラの動きに合わせてCGを動かさなければならない。失敗が許されない緊張感あふれる本番を乗り切って迎えた打ち上げは最高の気分だったという。「あの仕事は1人では心が折れていたと思います。仲間と一緒だから頑張れたし、今後どんな依頼がきても、あの仕事に比べたら気が楽だなと思えます(笑)」と照れ笑いを見せる。

学生時代を振り返り、「あの頃は不安でいっぱいでした」という長谷川さん。
「だけど今、本当に楽しいです。仕事だから辛いこともあるけど充実しています。仲間たちとの仕事は一番きつくて、一番楽しい。学生の皆さんも将来に期待していてください」。

長谷川 健太(はせがわ けんた)
CG映像学科/2016年卒業
太陽企画株式会社
+Ring デジタルアーティスト/CG デザイナー
HAL在学中に、自校のテレビCMを制作する「PROJECT HAL」の一員としてCG制作を担当。卒業後は太陽企画株式会社に入社し、人気アーティストのミュージックビデオや大手化粧品メーカーのテレビCMなどのCG 制作を手がける。
太陽企画株式会社
1968年創業。CMを中心に広告宣伝全般の構成・企画・制作を行う総合映像制作会社。さらに、ミュージックビデオやプロジェクションマッピング、WEB CMなどジャンルは多岐にわたる。広告賞の常連でもあり、2018年も多数のCM作品で受賞を果たしている。

※卒業生会報誌「HALLO」72号(2018年11月発刊)掲載記事