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急速に発展するIT業界
エンジニアとして市場価値を高めるためには

IT/WEB/AI
比企 宏之
LINE株式会社 Developer Relations室 ソリューションアーキテクト
情報処理学科/1994年卒業

HALを卒業してから、IT業界で着実に成果を上げ続けた

今や人々の生活に欠かせない存在となったコミュニケーションアプリ「LINE」をはじめ、様々なサービスを提供するLINE株式会社で、サービスの活用促進や事例づくり、技術的観点からのブランディングを担うDeveloper Relations室で活躍するのが比企さんだ。
HAL卒業後は、制御系システム開発の会社に就職。そこで携帯電話やスマートフォンなどの開発に従事した。現場ではシステムの設計を担うアーキテクトとして、プロジェクトで使われるフレームワーク(骨組み)やミドルウェア・アプリケーションなどの開発を担当。端末側での開発を通して、携帯電話・スマートフォンに必要な各階層において技術・知見を高めていった。

様々なプロジェクトを経て、2014年からはAmazonが提供するクラウドコンピューティングサービス「Amazon Web Services(AWS)」のプレミアムコンサルティングパートナーのアイレット株式会社において、大阪オフィス新規立ち上げの責任者を務めた。アイレットはAWSの各種プロダクトの導入・設計~運用保守までのサービスを提供する企業。そこで採用・運用チーム、構築チームの立ち上げを行いながら、「サーバレスアーキテクチャ」専門の開発チームも立ち上げた。
「サーバレスアーキテクチャ」とは業界最先端の技術で、サーバを用意せず、クラウド上にアプリケーションを構築する設計手法のこと。サーバの運用の必要がないので、システム開発に注力できる画期的な手段としてIT業界で注目の技術である。比企さんは自らが立ち上げた開発チームで、世界に先駆けてサーバレスアーキテクチャによる有料動画配信サービス「動画イズム444」の設計と実装を手がけた。

大型プロジェクトや新しいミッションに、チャレンジする毎日

IT業界において着実に成果を上げてきた比企さんは、徐々にLINEのプラットフォームを使った開発に着手していく。株式会社毎日放送(MBS)の「おしゃべりらいよんチャン」や、経済産業省の実証実験として行われた電子レシートに関するプロジェクトでの開発もまさにそうだ。
2018年4月には、劇場版『名探偵コナン 零の執行人』のコミックタイアップキャンペーンにおいて、人気キャラクター・安室透のLINE Botのコンテンツ作成にも携わり、さらに同年6月には、シャープ株式会社・株式会社パルコとともにLINEに対応した対話型サイネージの実証実験の企画提案・開発を行うなど、次々と大型プロジェクトに参画していった。

比企さんはその後、AmazonやAlibaba(アリババ)などの世界的企業ですでに取り組みが始まっている「OMO(オンラインマージオフライン)」に興味を持つようになる。そんなとき出席した「LINE CONFERENCE 2018」にてLINEでも今後OMOが進んでいくことを知り、LINEで働くことを決めたそうで、「これまでの経験から、LINEのプラットフォームはおもしろいことができそうだ、と感じました」と、その当時の気持ちを語った。
現在はDeveloper Relations室のソリューションアーキテクトとして、「“WOW”な事例の創出」と「LINEのエコシステムの構築」をミッションに、日々新たなチャレンジにまい進している。

※OMO(オンラインマージオフライン):
ユーザー行動をデータ化して集約し、ユーザー体験を高めるマーケティングを行う。ユーザー体験を良くするために、オンライン・オフラインの垣根にこだわらず、適切なチャネルを適切なタイミングで使用するという考え方のこと。
LINE CONFERENCE 2019において、LINEがOMOをコンセプトにインターネット上のサービスとリアルの世界のサービスをつなぐハブになると発表する。

「人脈は金脈」、エンジニアとして市場価値を高めるためには

「当時からHALは施設と設備にしっかり投資していると感じていました。特に卒業制作・発表展は、学生の内に大規模なイベントを経験できる貴重な機会だったと思います」とHALの印象を語る比企さん。企業のニーズが反映されたHALの教育カリキュラムで培ったスキルは、流れの速いIT業界においても仕事のベースになっているそう。

最後に、HALでIT分野を学ぶ学生や、IT業界で活躍する卒業生に向けてメッセージをいただいた。
「どんどん新しい技術やイノベーションが生まれ、追いかけるだけでも大変な業界ですが、最新の情報をキャッチアップしながらも、派手さに目を奪われずに、エンジニアとしてビジネスにどう貢献し、自身の市場価値をどう高められるかを追求してください。組織の中だけだとどうしても偏りが出てくるので、外のモノサシで自分を測るためにも、外部のコミュニティへの参加をおすすめします。」

比企さんは、「JAWSUG大阪」「イノベーションエッグ」「関西オープンIoTグループ」等の1,000名以上のコミュニティを立ち上げ、関西を中心にエンジニアに向けた啓蒙活動にも励んでいる。
「在学中に先生から言われた「人脈は金脈」という言葉は、社会人として経験を重ねるほどに思い出すことが多くなりました」と比企さんは言う。
最新技術を用いた開発の第一線で常に挑戦しながらも、後進のエンジニアのために勉強会を開催する、まさに縦横無尽に活躍の場を広げるその姿勢が、業界から比企さんに期待が集まる理由に違いない。

比企 宏之
情報処理学科/1994年卒業
LINE株式会社 Developer Relations室
ソリューションアーキテクト
HAL卒業後、携帯電話・スマートフォン端末の開発に従事。その後、国内最大規模のAWSパートナーであるアイレット株式会社にて「cloudpack」を活用したビジネスソリューションを経験。現在はLINE株式会社にてソリューションアーキテクトとしてLINEのサービスの活用促進や事例づくり、技術的観点からのブランディングを担う。