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ハンデはコンプレックスではなく、むしろ個性なのである。

IT/WEB
大塚 千代
株式会社JR西日本ITソリューションズ/システムエンジニア
WEB開発学科/2011年卒業

通常、就職活動において年齢が高いことは不利であるとされている。まったく違う業界への転身ともなるとなおさらだ。
しかし、逆にそうしたハンデを個性としてアピールすることで道が開けることもある。
グラフィックデザイナーからHALでの学びを経てシステム開発者へ転身した大塚さんに、就職までの道のりや現在のお仕事について話を伺った。

天職に出会うためには、まず、自分の特性を知ること

JR西日本といえば、国内の重要なインフラである鉄道網の管理・運営を行う企業だ。大塚千代さんが勤務するのは、そんなJR西日本グループ各社の情報システム開発・運用などを行う『JR西日本ITソリューションズ』である。HALを卒業してから、入社して3年目となる大塚さんは、他の同級生たちとは少し異なる経歴を持っている。

「美大を卒業して、デザイン会社でグラフィックデザイナーの仕事をしていました。最初の会社で5年ほど働いたあと転職。その後、退職してHALに入学したんです」
大塚さんが入学したのは、それまでの仕事とはまったく畑の違うWEB開発学科だった。

デザイナーから開発者へ。転身のきっかけは前職での“気づき”にあった。
「ものをつくるのは昔から好きだったんですが、デザイナーとして仕事をしているうちに、デザインの仕事が自分の特性に合っていないなと気づいたんです。デザイナーって自分を表現したいという強い気持ちや、押しの強さがないとついていけなくなる世界なんですよね。でも私はそうじゃなかったんです」

ハンデを個性として捉えること。それが転身に成功した理由

そんな折、大塚さんはシステムやコンピュータを使って業務を改善していく仕事に興味を持ち、転職を考えるようになった。しかし、何もできない状態で就職活動をしても失敗する確率が高い。システム開発の知識を体系立てて学ぶため、HALに入学する道を選んだ。
「入学してから最初の1年は、プログラムの基礎を教えてもらう感じ。高校を卒業してすぐの人も多いので、まずは自分で考える練習をさせるための課題が多かったですね」

2年生になると、より専門的な授業が増え、課題の重みも増していった。大塚さんを悩ませたのは、グループやクラスといった大人数でやらなければならない課題だ。
「みんなの力でひとつのシステムをつくるので、自分だけが頑張ってもできないんです。自分は頑張るつもりでいても、他の人が同じ気持ちだとは限らないし、熱意やレベル感の違いに悩むことはありました」

大学、さらに社会人経験を経て入学した大塚さんは、高校を卒業したばかりの同級生にとってはむしろ“先生”に近い存在。しかし、大塚さんにとっては、同じことを学ぶ同級生。
「私に対する遠慮みたいなものはあったと思います。それはしょうがないし、課題をやる上で壁になったこともありました。でも、今でも同級生との付き合いはありますし、今の会社でも年下の同期と普通に付き合っていますよ」

年齢や経歴だけを見ると、現在の仕事に就くまで遠回りしたようにも思える大塚さんだが、むしろそうした社会人経験がプラスに働いた面も少なくない。
「たしかに回り道ではありましたが、入社してから“思っていた仕事と違った”といったギャップに悩まなくて済んだのは、働くことを経験していたからこそだと思います。業種が違っても仕事の流れで共通する部分はたくさんあるし、こんな風に業務が進むんだろうというイメージがはっきり持てます。在学中から、具体的に“こういう仕事に就きたい”という目標が明確にあったので、勉強に打ち込めましたね」

もっとも、就職活動で年齢が壁になった部分もないわけではなかった。そこで大塚さんは、就職作品プレゼンテーションやインターンシップ制度など、HALのあらゆる就職指導制度を利用して自分自身を売り込むことに。
「就職作品プレゼンテーションには企業の方が来て、そのうちの数社に“うちはどうですか”と言ってもらえました。最終的にはインターンシップ制度で3ヵ月間企業研修して、実績や人となりを見てもらえたことが就職に結びつきましたね。周りにある制度を積極的に使って正解でした」

そうした就職活動を経験して大塚さんが思うのは、「ハンデは別の角度から見ると個性にもなる」ということだ。
「自分では嫌だと思っていることが、実はその人らしさをつくっているってことがあります。就職活動をする前に自分のことをどう思っているか、周りの人に聞いてみると良いですね。それで自分のことが見えたら、ここを活かしていこうという風に考えを切り替えていけますから」

“楽しい”仕事ではなく、“不快”に感じない仕事を探そう

現在、入社して3年目の大塚さん。ひと通り業務がこなせるようになり、仕事が楽しくなってきたところだという。
「もちろん楽しいことばかりではないですけど、トータルで考えると楽しいという感じ。システムをつくることで業務が改善されたり便利になったり、それが嬉しいんです。ユーザから直接感想を聞く機会というのはめったにないんですが、自分の手がけたシステムでうまく業務が回っているとやっぱり嬉しいですね。自分の特性に今の仕事が合っているんだと思います」

デザイナーからシステム開発へ。まったく違う職種へと転向した大塚さんは、自らの経験から“自分に合った仕事”の見つけ方を次のようにアドバイスする。
「仕事の本質が自分にとって不快に感じないということが大切だと思います。仕事には楽しい面もあるけれど、それは仕事全体から見るとほんの一部。だから、楽しい仕事だけを選ぼうとすると幅が狭くなってしまいます。最終的には“不快ではない”ことが自分に合う仕事なんだと思いますね」

大塚 千代
WEB開発学科/2011年卒業
美大を卒業後、デザイン会社でグラフィックデザイナーとして勤務していた経歴を持つ。HAL大阪・WEB開発学科を2011年に卒業後、JR西日本グループ各社の情報システム開発・運用などを行う『JR西日本ITソリューションズ』に就職。基本情報技術者、応用情報技術者、データベーススペシャリストの資格をHAL在学中に取得している。
株式会社JR西日本ITソリューションズ
http://www.j-wits.co.jp/
JR西日本グループの情報システムの企画・開発・保守・運用からコンサルティングまで、包括的にITサービスや、JR西日本管内を走行する全在来線の列車ダイヤを作成する『輸送計画システム』、『JRおでかけネット業務システム』『ICOCA ID管理システム』など、高品質・高信頼な情報システムを提供している。

※卒業生会報誌「HALLO」67号(2013年11月発刊)掲載記事