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人間力は「責任感」と「周りを巻き込む力」。
インターン期間は人間力を磨く第一歩。

CG/ANIMATION
茶畑孝徳
NAKED Inc./CGクリエイター
3DCG映像学科(現CG映像学科)/2010年卒業

数年前から映像業界で注目されているのが、プロジェクションマッピングという投影技術だ。
まさに映像業界の花形とも言えるこの技術で世界をリードしているのが、映像クリエイター集団・NAKEDである。
HALを卒業後、NAKEDでCG制作に携わる茶畑孝徳さんは、いかにしてCGクリエイターになるという夢をかなえたのか。
憧れを仕事に変えた茶畑さんの軌跡を追った。

長期間のインターンシップで、学生とは違うプロの空気を感じた

HALの3DCG映像学科(現CG映像学科)を2010年に卒業した茶畑孝徳さんは、卒業後に東京の映像制作会社NAKEDInc.(以下、NAKED)に就職。CGクリエイターとして、様々な映像制作の仕事に関わっている。NAKEDは1997年に設立された企業で、主に映画やテレビ、広告などの分野における映像制作を長らく手がけてきた。最近ではプロジェクションマッピングのリーディングカンパニーとしても知られており、映像業界の花形的ポジションを確立している。そんなNAKEDに茶畑さんが就職したのは、3年生の時のインターンシップがきっかけだった。「私がインターンシップ先を決めたのはクラスでも遅い方でした。NAKEDを選んだのは、一度東京に出てみたいという思いがあったから。長期のインターンシップを通して、学生とは違うプロの空気を感じましたね」

中学生のとき、『ファイナルファンタジーVIII』をプレイし、美麗なCGムービーに感動したという茶畑さん。そのときの衝撃が忘れられず、自らもゲームのCGをつくる仕事に就きたいと考えた。独学でCGの勉強をしながら、コンピュータの技術を身につけるため高専に進学。5年間在学したものの、卒業には至らなかった。「もう1年、高専で勉強するか、別の学校に進学するかの選択を迫られました。高専では電気工学系だったので、主に回路などの勉強が中心で、あまりCGの技術は学べませんでした。自分としてはCGをやりたい気持ちが強かったので、HALへ入学することを決めました」

課題をちゃんとこなすことはもちろん、質問して身につけていくことが大事

学校について調べ始めたときから、CGを学ぶならHALだろうと漠然と考えていた。知名度があり、一番大きな学校であることの安心感。そして何より、様々な設備や施設がそろっていることが決め手となった。入学後は3DCG映像学科へ進み、念願だったCGの勉強に取り組んだ。夢へ近づいているという手応えを感じながらも、一方で勉強に関する様々な苦労もあった。「課題をちゃんとこなしていれば基本的な技術は身につきますが、それ以上は個人の努力次第で変わる部分。でも、HALは同じCGクリエイターを目指す友達がいたのが大きかったですね。授業でも最初は理解できないことが沢山ありましたが、友達への質問を通して身につけていくことができました。今でこそ簡単にできるようになりましたが、最初はそれこそ物の色を変えることすらできなかったんですから」

転機となったのは2008年、3年生のときだ。インターンシップでNAKEDに入り、みっちりと仕事をこなした。もっとも、それは茶畑さんがやりたかったCG制作の仕事ではなく、映像編集やADとしての仕事だった。「当時のNAKEDはまだプロジェクションマッピングはやってなくて、ドラマや映画をつくっていました。インターンシップでは撮影に必要なものを買いに行くところから、納品に出かけるところまで、何でもやりましたね。AfterEffectsやFINAL CUTを使った映像編集もやりましたが、逆にCG制作はやりませんでした。最初はCGがやりたくて悶々としたこともありましたが、映像に関わっていくとそっちも面白いなと思い始めたんです。それまではゲームのCGをつくるのが夢だったのですが、インターンシップを通して目標が変わり始めました」

インターンシップを終えて、いよいよ就職活動が本格的にスタートする。ちょうど就職氷河期に当たったこともあり、茶畑さんの就職活動は一筋縄ではいかなかった。そんな折、NAKEDのディレクターから一本の電話が入る。「冬近くになった頃、インターンシップで自分がついていたディレクターから電話があって、『あのときの素材どこいったっけ?』と聞かれたんです。業務連絡でした(笑)。その際に就職が決まったかどうかを聞かれて、よかったらNAKEDにこないかと誘っていただいたんです。それから数日後には社長面談があって、あっさりと決まりました。本当に縁ですよね」

今後は「人間力」をもっと身につけて演出の仕事をしていきたい

入社後は念願だったCG制作に携わり、東京駅や進撃の巨人など、世間で話題になったプロジェクションマッピングにも中心メンバーとして参加している茶畑さん。現場で働くようになって痛感するのが、"人間力"の重要性だという。「私が思う人間力とは、仕事を遂行する責任感と、周りを巻き込む力ですね。NAKEDの社訓は『何とかなるなる。何とかすれば』というものなのですが、これは楽観的な意味ではなくて、"本気でやる"ということ。仕事に本気で取り組み、問題が起きてもきちんと解決して結果を出すところまでふんばる人は人間力があると思います。たとえばトップでやっているプロデューサーは何億円ものお金を動かしているのですが、仕事がうまくいっていないときでも決して表には出さずに解決します。さらに、チームのムードメーカーとして空気をつくるのが本当にうまいんです。そういう人を見ていると、自分としてはまだまだだなと思いますね」

現在はCG制作の実作業がメインだという茶畑さん。今後は少しずつ演出面の仕事も増やしていき、ディレクターとして作品をつくっていくのが目標だという。最後に、映像制作に関わりたい学生に向けてのアドバイスを尋ねると、「プロジェクションマッピングではトライ&エラーを繰り返すことが多いので、何度も挑戦する心を養ってほしいですね」と答えてくれた。挑戦する心、それこそが茶畑さんの夢の原動力だ。

NAKED Inc.
http://www.naked-inc.com/
1997年設立。映画、ドラマ、CF、ミュージックビデオを中心に様々な映像制作を中心に、ありとあらゆるクリエイティブワークを手がけるクリエイター集団。2012年にプロデュースした東京駅のプロジェクションマッピングは大きな反響を巻き起こした。その他、マーケティング提案などのブレーンとしても活動している。

※卒業生会報誌「HALLO」68号(2014年11月発刊)掲載記事