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指示される前に動く。常に先を読むことで効率を高め、編集業務のクオリティ・アップに貢献する。

CG/ANIMATION

株式会社 IMAGICA プラス
梶川正枝(アシスタントエディター)

テレビ番組の収録とオンエアの間には、必ず「編集」の過程がある。映像をどうつなぎ、さらにテロップやワイプなどの効果をどのように施すか。この過程によって番組の印象がまったく変わってしまうため、とても重要な仕事だ。編集を担当するエディターにとって、仕事のやりがいや醍醐味、喜びはどこに見出されるのか。株式会社IMAGICAプラスの梶川正枝さんにお話をうかがった。

お客様の要求は言葉以上にキャッチ
理解力と読解力が円滑な仕事を生む

映像業界の最大手IMAGICAグループの中で、テレビ番組の編集作業を中心に業務を行う株式会社IMAGICAプラス。梶川正枝さんは、バラエティやドキュメンタリーなどの番組でアシスタントエディターを務めている。

「私の職場で行っているのは、オンライン編集(本編集)。オフライン編集(仮編集)を基に、素材VTRの映像をテレビ放送用に編集し、MA(音編集)へ渡すまでの仕事です。私が主に担当するのはテロップで、Photoshopを使ってテロップデータの色や文字組みを調整し、テロッパーで最適な位置や大きさにレイアウトしてメインエディターに渡すこと。他にも、素材VTRやデータの管理、CMタイミングを書き込んだ記録表の作成なども日常的に行っています」

最近では番組の構成や表現が複雑になっており、扱う素材やテロップの数も膨大なものになる。

「メインエディターがどう編集していくか、常に先を読んで、指示される前にどの素材やテロップを用意すれば良いかを判断します。画の差し替えがある場合は、事前にお客様に素材が揃っているかどうかの確認も済ませ ます。アシスタントの動きが速くて的確なら、一つひとつの画やテロップに時間をかけて臨むことができます」

エディターにとっては、テレビ番組のディレクターがお客様。要求に応える際に、重要なことは何だろうか。

「どの番組のディレクターさんも、必ず“いい感じにしてください”とおっしゃるんです(笑)。“いい感じ”の真意を理解するには、ディレクターさんの仕事のやり方を注意深く見て、普段から積極的にコミュニケーションを図っておく必要があります。会社の通路などで、『最近、ウチの番組やってないね。また一緒に仕事したいね』とおっしゃっていただくと、とても嬉しいですね」

授業、グループ作業、イベント運営を通じて
HAL時代に得た様々な経験と技術

HALではCG映像学科で学び、エディターの仕事を選んだ梶川さん。

「とにかくテレビが大好きで、元々は番組のオープニングに使われる華やかなCG制作に携わりたいと思っていました。でもHALフェス(卒業制作展HAL-MODE FESTIVAL)でグループ制作に取り組み、作品の編集を担当した時、“本当にやりたいのは編集だ”と気づいたんです。編集なら、番組全体に関わることができる。テレビ好きの私には、本当にやりがいのある仕事だと思っています。また運営スタッフとして外部の方々と接した経験は、コミュニケーションの力にもなっていると思います」

Photoshopをはじめ様々なソフトを習得したほか、ハードディスクによるノンリニア編集を学ぶこともできた。

「テレビ番組をはじめ、今でもリニア編集の業務は多く残っています。でも今後、ノンリニア化していく流れがあるのも確か。私はノンリニアにも触れているので、不安や疑問を持つお客様の相談に応じることもできるんです」

夏にはメインエディターになるための社内試験がある。

「仕事とともに勉強の日々です。メインエディターには制作者の視点はもちろん、視聴者視点、スポンサー視点など、総合的な視野も要求されますから。ノンリニアとCGの勉強もさらに深めて、将来はできれば編集だけでなく、CG制作、音入れまで一人でこなせるようにもなってみたいですね。編集という枠を超えて、演出をはじめ、より幅広く映像制作に関わっていくのが夢です」

株式会社IMAGICAプラス
取締役テクニカルマネージャー
岩立 登志雄さん
私たちの仕事はサービス業。 お客様のいちばん欲しいカタチを作ります。
「われわれはサービス業」と明言する岩立さんは、梶川さんのチーフエディター昇格を心待ちにしている テロップが当たり前になり、ワイプ処理やCGなどの技術が多様化し、1本の番組にかける編集はますます複雑で高度化しています。私たちの仕事は、お客様のリクエストにお応えするサービス業。ニーズを正しく理解するには、コミュニケーション能力が何より大切です。梶川さんは信頼度も高く、「また彼女と組みたい」と言っていただけるディレクターさんもいらっしゃいます。ステップアップして、さらに力を発揮してくれる日を心待ちにしています。

株式会社IMAGICAプラス
http://www.imagica.co.jp/
1935年に創業した、映像全般の総合コミュニケーション企業・IMAGICAのグループ会社。編集・合成・MAなど、主にテレビ番組のポストプロダクション業務を担当している。業界のリーディング・カンパニーとして、民放各局を代表するゴールデンタイムの番組を数多く手がけるだけでなく、常に映像コミュニケーションの可能性を追求している。

※卒業生会報誌「HALLO」64号(2010年06月発行)掲載記事