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『竜とそばかすの姫』劇中歌、BGMを作曲!
ゲームから映画まで多彩なジャンルの世界観を演出

MUSIC

Ludvig Forssell
ルドウィグ フォシェル
作曲家
ミュージック学科/2011年卒業

『DEATH STRANDING』でのゼロからつくり上げる経験が作曲家としての糧に

これまでの作曲家としてのキャリアを振り返ると、まさにターニングポイントの連続だったと思います。コナミに入社し、社内の開発チームである小島プロダクションで、日本のゲームクリエイターで最も尊敬する小島秀夫監督と一緒に仕事ができるようになったのもそうですし、『メタルギアソリッドⅤ ファントムペイン』でリードコンポーザーを任せていただいたのもそうです。その後、小島監督の独立に伴ってコジマプロダクションに移籍。2021年4月には独立してフリーになり、また新しいステップが始まりました。
中でも大きな転機になったのが、コジマプロダクション在籍時にコンポーザー兼オーディオディレクターを務めた『DEATH STRANDING』です。それまで携わったゲームタイトルでは、すでにある程度世界観が決まっていて、楽曲もそれに沿ったものが求められました。『DEATH STRANDING』で初めて、誰かの背中を追うのではなく、“自分でゼロからつくり上げる”という機会をいただいたんです。しかも、オーディオディレクターは、音楽、効果音、音声を含めたサウンド全体の責任者。真っ暗闇の中で、「ここはどう色づけすればよいか」「ここをどういう世界にするか」と、ひとつ1つ考えながら手探りで進むようなものでした。とても難しく大変な仕事でしたが、あの経験がなければ、作曲家として独り立ちすることはできなかっただろうと思います。

コナミからコジマプロダクション、フリーへ…
あらゆるメディアを通じて活動の幅を広げたい

フリーになって最初の作品が、2021年7月に公開された細田守監督のアニメ映画『竜とそばかすの姫』です。これまでゲーム音楽を中心に活動してきたので、長編アニメ映画に携わるのは初めて。日本のマーケットに向けた日本らしい作品に参加できて、とても新鮮で楽しかったです。
新しいことに取り組むとき、もちろんプレッシャーはあります。でも、それ以上に、好きな仕事ができるワクワク感の方が大きいですね。怖さを感じるとしたら、自分が納得できない作品を世に出してしまうこと。僕の作曲家としての一番の強みは、“センス”だと自負しています。センスに自信があるから、自分の作品も含め、楽曲を聴いてその良し悪しを判断することができる。たとえば、「時間がないから」などの理由で自分が納得できないまま楽曲を提供してしまったとしたら、 きっと後々まで嫌な気分が残るでしょう。それは何より怖いことです。
今後は、ゲーム、映画、テレビなど、あらゆるジャンル、あらゆるメディアの音楽をつくっていきたい。今以上にもっと視野を広げていきたいと考えています。コナミやコジマプロダクションで制作していたようなスケールの大きいプロジェクトばかりではなく、インディーズゲームや、小規模で個性的な作品にも携わるのも楽しみですね。今一番興味があるのは映画音楽。『竜とそばかすの姫』でアニメ映画を経験させてもらったので、今度は実写映画の音楽に挑戦してみたいです。

PROFILE
Ludvig Forssell
ルドウィグ フォシェル
作曲家
ミュージック学科/2011年卒業


スウェーデン出身。子どもの頃からバンド活動を行うなど音楽に親しみ、音楽専門の高校を卒業後、19歳で来日。日本での就職を視野に入れ、「自分はミュージシャンよりコンポーザーの方が向いている」と考え、HALのミュージック学科に入学した。
HAL卒業後は、株式会社コナミデジタルエンタテインメントに入社。
ゲームクリエイター小島秀夫監督の『メタルギアソリッドⅤ ファントムペイン』ではリードコンポーザーを務め、作品の大部分のBGMを作曲した。2016年にコナミを退社し、小島監督が立ち上げた会社「コジマプロダクション」へ移籍。PlayStation 4用ソフトとして2019年に発売された『DEATH STRANDING』では、コンポーザー兼オーディオディレクターとして音楽制作を手掛けた。この作品で、コンピューターゲーム業界の世界的アワード「The Game Awards 2019」にて「最優秀スコア&ミュージック賞」を受賞。
その他にも、Netflixアニメ『Ultraman』や任天堂ゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』の音楽制作など、サウンドアーティストとして幅広く活躍を続ける。2021年にコジマプロダクションを退社し、フリーの作曲家として独立。同年7月公開の細田守監督の長編アニメーション映画『竜とそばかすの姫』で、音楽制作を担当した。

代表作

竜とそばかすの姫
2021年7月16日より全国公開された、細田守監督・スタジオ地図制作による長編アニメーション映画。
母親の死により心に傷を抱えた少女が、世界中から50億人が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとする勇気と希望の物語だ。
主人公・すずが「ベル」という歌姫として<U>の世界で人気者になる様子が描かれるなど、作中では音楽が重要な役割を担っている。
Ludvigさんは、この作品で音楽を担当し、<U>でベルが歌う劇中歌『歌よ』など複数の楽曲を制作した。