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初プロジェクトの「新型クラウン」で
細部までこだわったデザインを生み出す

CAR DESIGN

新井 翔
トヨタ自動車株式会社
デザイナー
カーデザイン学科/2019年3月卒業

時間を見つけてはアートなど美しいものに触れた経験が糧に

子どもの頃からクルマが好きで、特にセダン、ベントレーや昔のクラウンなどに惹かれていました。また、鉱石や建築物といった美しいものにも興味があり、クルマのデザインに関する仕事であればクルマと美しいもの両方に携われると考え、カーデザイナーを志しました。
狭き門ということもあり、一時は違う道も考えていたのですが、やっぱり諦めきれず高校3年生の時に、HALのカーデザイン学科に進むことを決意。
HALを選んだ理由は、充実したカリキュラムとアクセスの良さです。アートなどの展示やセレクトショップに行きやすく、日々刺激を受けながら学べる環境が魅力的だったのです。入学後は時間を見つけては、様々なものを積極的に吸収するようにしていました。美しいものに触れ、魅力的に感じる理由を考えたり、見せ方を学んだりするのは非常に勉強になります。
HALのカリキュラムで特に大きな学びとなったのは、自動車メーカーとの産学連携プロジェクトです。それまでは紙の上で自由にデザインを描いていたのですが、現場の方から生の意見をいただくことで、強度など機能面も考慮して構造を考える必要があると気づかされました。クルマのデザインをする上で、とても大切な視点を得られたと思います。

「そのクルマがある生活」を予感させるデザインが目標

配属されて初のプロジェクトが、「クラウン」のフルモデルチェンジでした。主に担当したのは、外形のリア周り。会社を代表するような歴史あるカーブランドだけあって、社内での期待もとても大きく、携われる喜びと同時にプレッシャーも感じながら、デザインを考えました。
「ちゃんと製品になるデザインなのか」と常に考えながら取り組んでいましたね。これまでのクラウンの世界観を踏まえつつ、クルマになったときに魅力的で今までにないデザインを追求。
外観だけではなく、細かいパーツなどにも携わり、色々なことに挑戦できて楽しかったです。
カーデザインで大切なのは、クルマの仕組みや構造をしっかり理解した上で、快適に使えるように落とし込むことだと考えています。どんなに見た目が素敵でも、使っていて不便なクルマって、誰からも愛されないと思うんです。見た目の美しさだけでなく機能性を兼ね備え、「このクルマとならこんなライフスタイルを送れそう」と予感させるようなデザインが理想です。普段クルマを運転している時も「こうだったらもっと乗りやすいだろうな」と考えていますね。
生活の中にあるものをつくっていきたい気持ちが強いので、街中で自分の手掛けたクルマが走っている姿をたくさん見られたらいいなと思っています。そのためにも、日々の生活に隠れているヒントを見逃さず、ひらめきを大切にし、より良いデザインを追求していきたいです。

PROFILE
新井 翔
トヨタ自動車株式会社
デザイナー
カーデザイン学科/2019年3月卒業


子どもの頃から、クルマが好きで特にセダンや昔のクラウンなどに興味を持つ。また、鉱物や建築物といった美しいものへの関心が高く、クルマと美しいものへの気持ちを活かせるクルマのデザイン関係の仕事を志す。工業系の高校を卒業し、カーデザイン学科に入学した。
地道な努力の末、トヨタ自動車にカーデザイナーとして就職。配属された最初のプロジェクトで、新型クラウンの外形のリア周りのデザインを担当。他のトヨタの若手デザイナーとともに、新しいクラウンを生み出した。

代表作

新型クラウン
クラウンは、1955年に誕生したトヨタ自動車の高級カーブランド。2022年7月にフルモデルチェンジし、16代目にあたる新型クラウンが発表された。
これまでの枠に捉われない新しいスタイルを目指し、プロジェクトには若手カーデザイナーたちを抜擢。
新井さんはその一員として、外形のリア周りを担当した。タイヤ周りをはじめとするデザイン性の高さ、快遼なカーライフを叶える機能性を兼ね備えた新しいクラウンは、大きな話頴を集めている。


会社概要
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車は、日本最大手の自動車メーカー。
クラウンやカローラ、プリウスなど、様々なカーブランドは、日本国内のみならず海外からも高い評価を得ている。
急速な社会の変化に伴い、クルマの概念が大きく変わろうとする中、移動の自由と楽しさに溢れた社会をつくる「モビリティカンパニー」を目指している。