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『呪術廻戦』で世界でも話題に
音楽で作品の世界を広げる

MUSIC

桶狭間 ありさ
作曲家
ミュージック学科/2015年3月卒業

日本では珍しいフリーランスの道を思い切って選択

ピアノを習うなど、幼いころから音楽が身近だったので、自然な流れで音楽関係の仕事を目指すようになりました。一番興味があった作曲を学ぶため、HALに入学。レコーディングやゲームの効果音の作成など、他の学校の作曲コースにはない授業があるのが魅力でした。特にレコーディングの授業は作曲家としてお願いする立場になった今、具体的な提案ができるので役立っています。
劇伴作曲家になると決めたのは、3年生の頃です。進路に悩んでいた時に、色々な映画やドラマを見て感動し、音楽を通して世界観を表現したいと考えたんです。なかでも印象的だったのは「図書館戦争」という映画。物語のクライマックスを音楽がグッと引き立てていて、すごく心を動かされました。
HALを卒業した後は、劇伴作曲家のアシスタントとして修行しました。アシスタント時代は、業界のことを一から学べ、全てが勉強でした。50以上の作品に参加し、作品の世界にあった表現を学んでいきました。
その後、思い切ってフリーランスとして活動を開始。日本ではフリーランスの劇伴作曲家は珍しいのですが、海外ではエージェント制度が一般的です。私のように業務提携で仕事をしている人が多く、もしかしたら将来的には日本でも一般的になっていくかもしれないと考えました。

目の前にある仕事のクオリティを高めることがキャリアにつながる

作品の世界に合わせて音楽のジャンルや楽器を選択し、だんだん狭めていく作曲スタイルをとっています。私は好奇心が旺盛なので、色々なジャンルを聴き、新しいソフトはすぐに試すタイプです。様々なものに積極的に触れることが、引き出しの多さにつながっていると感じています。
作曲における一番のこだわりは、いかに作品の世界観を広げられるかです。「呪術廻戦」であれば、かっこよさはもちろん、作品全体に漂う不穏さも表現するよう意識。少し暗めの音を使うなど工夫しました。独特で荒々しいタッチの絵が持つ魅力を音に落とし込めるよう作曲しています。SNSを通して、海外のファンの方からも良い反応をいただけて嬉しかったです。
不安定な面もあるフリーランスだからこそ、目の前にある仕事の質をできるだけ高めるようにしています。リテイクがあった時には、クライアントの要望を再確認し、何が求められているのかを考え、より作品に合った曲になるよう意識していますね。そうした積み重ねが、次の仕事につながっているのだと思います。
今の目標は、毎クール1本、担当した作品がオンエアされるよう、コンスタントに仕事をすること。ひとつ1つの作品をしっかり仕上げ、その積み重ねでステップアップを目指しています。今はアニメ作品に携わる機会が多いですが、ドラマや映画といった実写の劇伴もどんどん手掛けていきたいですね。

PROFILE

桶狭間 ありさ
作曲家
ミュージック学科/2015年3月卒業


子どもの頃からピアノを習うなど音楽に親しみ、自然に音楽の道を志すように。作曲を学ぶために、HALのミュージック学科に入学した。作曲のみならず、レコーディングなど音楽制作の基礎を修得。3年生の時に、ドラマや映画をはじめとする映像作品の世界観を音楽で広げたいと思い、劇伴作曲家を志す。
卒業後は、劇伴作曲家のアシスタントを約6年経験し、劇伴作曲家としての基礎を身につける。現在はフリーランスとして、株式会社ホリプロなど数社と業務提携。
人気アニメ「呪術廻戦」「劇場版呪術廻戦0」の劇伴音楽の作曲をはじめ、様々なアニメ・実写作品に携わる。劇伴を担当したアニメ作品が今後続々と公開予定。


代表作

アニメ『呪術廻戦』『劇場版呪術廻戦0』
「呪術廻戦」は、人間の負の感情が生んだ化け物を呪術で祓う呪術師たちの闘いを描いた、芥見下々作による漫画。
呪いの玉を自身の中に抱えながら、他者を助けることを使命に戦う主人公・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)をはじめ、個性豊かなキャラクターが活躍する。
集英社「週刊少年ジャンプ」にて連載中で、シリーズ累計発行部数7,000万部を突破した人気作だ。2020年10月から2021年3月まで毎日放送・TBS系列で、TVアニメ第1期が放送。
2021年12月24日に「劇場版呪術廻戦0」の上映がスタートした。TVアニメ第1期の前日譚である劇場版は、呪術廻戦の原点を見事に描き、日本のみならず世界中で熱狂的なムーブメントを巻き起こした。
桶狭間さんは、「呪術廻戦」「劇場版呪術廻戦0」の劇伴音楽の作曲を担当。独特の世界観を音楽で表現した。