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『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』 の開発に携わる

GAME
株式会社ゲームフリーク
プログラマ 川上 拓也
ゲーム4年制学科 ゲーム制作コース/2018年3月卒業
プログラマ 後藤 拓生
ゲーム4年制学科 ゲーム制作コース/2020年3月卒業
グラフィックデザイナー 伊藤 正輝
アニメ・イラスト学科(現:CG・デザイン・アニメ4年制学科 アニメーションコース)/2021年3月卒業

「オープンワールド」や「自撮りモード」など
シリーズの新たな試みに挑戦

川上 私の所属は、プログラマセクションのフィールド・イベントチームでした。フィールドとは、ゲーム内の時間や天候、地形といった環境を表現し、そこへ様々なオブジェクトを配置して動作させる仕組みです。イベントは、バトルやストーリー進行に伴う演出の発生などゲームの状態を管理したり、各イベント内で使う機能を提供します。今回はシリーズ初のオープンワールド作品になりました。今までと同じスペックで、物量や自由度を大きく向上させる必要があり、どう実現するか考えるのはやりがいがありました。これまでとは違うつくり方をしていく必要もあり、チームリーダーとして開発をまとめ上げていくのは大変でした。

後藤 私は、ゲームAIチームに所属していました。実際にポケモンの動きをつくって、フィールド上で動くようにするところを担当していました。例えば、このポケモンはこういうタイミングで走る、きのみを採りに行く、ジャンプする、といったアクションをゲーム内で表現します。プレイヤーに「このポケモンはこういう生き物なんだ」というのを認識してもらえるようにそれぞれの動きを考えて、実装しています。本当にたくさんの数のポケモンがいて、それぞれに個性や特徴があります。それに合わせて様々な動きや表現をつくっていかなくてはいけないので、1番難しくもやりがいのあるところでした。

伊藤 私は、3Dグラフィックセクションのモーションチームに所属していました。人物とポケモンのモーションなど、ゲームにおける動きに関する部分にデザイナーとして携わりました。今作ではフィールド上で主人公が「自撮り」できる遊びがあります。また、イベントをクリアした後にそのイベントに出てきた人物とポケモンと一緒に写真を撮るシーンがあるのですが、そういった企画を中心に担当していました。主人公は自分が操作するので基本的に後頭部しか見えませんが、写真を撮る時だけは顔がしっかり映るシーンになります。数少ない、主人公を魅力的に見せるタイミングに携わることができました。いろいろな文化圏や年齢層の方に受け入れていただけるポーズを考えることにとても気を遣いましたね。

©2022 Pokémon. ©1995-2022 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switchは任天堂の商標です。

ゲーム制作のプロフェッショナルとして大切にしたいこと

後藤 私はこの作品がはじめて携わったプロジェクトだったのですが、とにかく楽しくつくることを心がけています。世界中の人に「面白い!楽しい!」と思ってもらえる作品をつくるためには、まずはつくっている自分が楽しんでいないといけないと思いますね。あと、少しでも良いものをつくろうと意識すること。ゲーム全体が良くなるように、自分から提案します。ひとり1人の行動で、良い作品が生まれるのだと思います。

伊藤 心がけていることは、独りよがりにならないことです。例えば、とても綺麗な街のグラフィックをつくっても、看板がありすぎるとどこに行ったらいいか分からなくなってしまうことでしょう。コントローラーを握っている人のことを考えてつくらないといけないので、その中でどこまでモーションやグラフィックを魅力的に見せられるか、バランスを常に考えるようにしています。映像やアニメ作品と違って、ゲームはプレイヤーの操作によってインタラクティブに動いていきます。そのため、ゲーム内の動作をプレイヤーの感覚にどこまで近づけられるか、常に考えながら開発しています。

川上 ゲームプログラマとして、必ずしもプランナーの言いなりにならないことを大切にしています。ゲーム制作の流れは、まずディレクターが方向性を決定し、プランナーが企画書と仕様書を書きます。プログラマは仕様書を読んで実際に設計や実装を進めていきますが、仕様書の記載通りにただ実装するわけではないのがゲームフリークの特徴です。企画意図もきちんと理解して、本当にこの企画の要件を満たせるのか、本質を理解した上で設計に取り組むようにしています。より企画意図が実現できる方法を提案することもありますね。ゲーム制作は、良いものを作るためにはトライアンドエラーがつきものですが、面白さへのこだわりを持つことは心がけています。

やりたいことを考え直した結果、HALへ
在学中はやりたいことをとことん追求

伊藤 HAL入学前は、直前まで4年制大学への進学を目指していて合格通知までもらっていました。でも、「なにか違う、このまま進学して大丈夫なのか」と不安があり、自分のやりたいことを見つめ直したところ昔から絵を描くのが好きだったことに思い当たりました。父が自動車メーカーで働いているのですが、HAL出身のデザイナーが活躍していると聞いていたので、ここならしっかり勉強できると思いました。HALは卒業生にゲーム業界で活躍している方が多くいることを知って決断しました。 在学中はアニメや映像の制作だけでなく、チーム制作でマネジメントをしたり、専科でゲームプランニングを学んだり、本当に色々なことを経験しました。その経験値が今ゲームをつくる時に活かされていると思いますね。

川上 私は研究者になろうと受験しましたが、改めてやりたいことを考えた時、子どもの頃に憧れていたゲームプログラマを目指そうと思い、HALに入学しました。 ちょうど3年生の時がVR元年と呼ばれた年で、勢いに任せてVRの開発機材を一式買い揃えました。当時はまだカリキュラムにはありませんでしたが、HALの同級生と開発を続けていたら、先生たちに面白がられて、スペースの提供などサポートしていただけるようになりました。授業を受けるだけではなくて、自分からやりたいことを見つけて伸ばしていくことが大切だと思います。会社に入ってからも勉強を続けないと、新しいものに置いていかれてしまいます。自分でやりたいことを見つけて、自分で勉強する習慣がついたことはとても良かったと思います。

後藤 私は大学受験をしましたが落ちてしまい、気づくと4月頃になっていました。高校までにプログラミングの経験がなかったため、一から学べる学校に行きたいと思いましたが、春入学は間に合わない。調べると、HALには秋入学がありました。 入学してからは、朝登校してから夜学校が閉まるまで作品をつくり続けるほどゲーム開発に没頭。おかげで技術を身につけることができました。HALの経験では、チーム制作が役立っていますね。実際の仕事とは規模が違いますが、根本的には通じる部分も多いので、在学中に経験できたことは良かったと思います。在学中から興味を持っていた、ゲームAI技術に関わる仕事ができています。

PROFILE
川上 拓也
株式会社ゲームフリーク プログラマ
ゲーム4年制学科 ゲーム制作コース/2018年3月卒業

ゲームプログラマを目指してHALに入学。卒業後、株式会社ゲームフリークに入社。『ポケットモンスター ソード・シールド』で「ポケモンキャンプ」のミニゲーム開発を担当。
『Pokémon LEGENDS アルセウス』ではプレイヤー挙動実装の主担当を務め、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の開発に合流。フィールドチームのリーダーを務めた。
後藤 拓生
株式会社ゲームフリーク プログラマ
ゲーム4年制学科 ゲーム制作コース/2020年3月卒業

HALのゲーム4年制学科 ゲーム制作コースで学び、卒業後、株式会社ゲームフリークへ。
入社後初めてのプロジェクトとして『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の開発に参加。ゲームAIチームの一員として、個性的なポケモンたちの動きを実装した。
伊藤 正輝
株式会社ゲームフリーク グラフィックデザイナー
アニメ・イラスト学科(現:CG・デザイン・アニメ4年制学科 アニメーションコース)/2021年3月卒業

HALで、CGやアニメーション、特にモーションを専攻。卒業後は、グラフィックデザイナーとして株式会社ゲームフリークに入社。
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』では、主人公をはじめとした人物キャラクターの動きを担当した。

会社概要
株式会社ゲームフリーク
ゲームフリークは『ポケットモンスター』シリーズをはじめとした、世界中を楽しませるゲームをゼロから企画・開発しています。まだ見ぬ驚きと笑顔をつくるため、新しい遊びの追求を続けています。現在HAL卒業生は約10名在籍、各職種で活躍しています。(2023年1月現在)

<企業理念>
良質な「遊び」を継続的に創り出すことによって世界中の人に楽しさ、面白さ、発見を。
そして勇気と希望、やさしさ、夢、冒険心を提供していきます。