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細田守監督の話題作など
映画・ゲームの「動き」を担う

CG/ANIMATION

畑 慎一郎
株式会社デジタル・フロンティア

CG制作部 アニメーションディビジョン
アニメーションチーム
チーフデザイナー

CG映像学科(現・CG・デザイン・アニメ4年制学科 CG映像コース)/2016年卒業

数々の話題作のモーションデザインを担当

入社以来、アニメーション制作の部署でモーションデザインを担当しています。モーションデザインは、ゲームや映画の登場人物の動きや表情を絵コンテなどから想像してつくり込んでいくお仕事です。今は、ゲーム作品のモーションキャプチャー(センサーを搭載したスーツを着た人間の動きを記録したデータ)で撮ったキャラクターの動きを修正する作業をしていますね。キャプチャーで撮ったままの動きは、ガタツキがあったり構図が悪かったりして、そのままでは使えないので修正する必要があります。顔の表情をつくる場合は、キャプチャーではなくソフトウェア上で一から自分の手で動きをつくることもありますし、両方併用することもあります。
これまで13作品のゲームやテレビアニメ、映画に携わってきました。最近では、映画『竜とそばかすの姫』がありますね。細田守監督の作品はほとんど当社でやらせていただいていますが、入社当時から細田守監督の作品が好きだったので、夢がかなったという想いがあります。映画のエンドロールに自分の名前を載せたいという目標も持っていましたが、それについては、映画『デスノート Light up the NEW world』で初めて載ることができ、嬉しかったですね。

©2021 スタジオ地図

経験を積むことで監督の真意がわかるように

この仕事は、提示された絵コンテをいかに噛み砕いて表現できているが勝負です。クライアントやリーダーから細かい修正が入るのが当たり前なのですが、一発でOKをもらえた時は達成感を感じますね。経験を積むにしたがってレイアウトというものが何なのかわかってきて、これまでの経験を基に自分で納得いくものを出すと、OKをもらえるようになってきました。絵コンテは、描く人によってそれぞれですので、そこから真意を汲み取ることは、最初の1、2年はうまくできませんでした。絵コンテをそのまま形にしただけですと「全然良くないね」と言われてしまいます。そこで、ここはどういうシーンなのか、キャラクターの身長はどうなのか等、考える必要があります。こうしたことは、いろいろな作品を手がけて、いろいろな先輩からのチェックを受けて、だんだんできるようになった感じですね。
良い作品を生み出すために心掛けていることは、独りよがりにならず、人の意見を聞き、受け容れることです。先輩や後輩と雑談をしているときに意見を聞いて取り入れることもありますね。仕事では、どうしてもつくり手目線になってしまいがちですので、プロジェクトに直接関係のない人が見て感じたことは大切だと思います。

1本のCMに自分の進むべき道が見えた

映像に興味を持つようになったのは、父親の影響が大きいと思います。父が映画好きで、VHSのビデオが普及していた頃、映画のビデオが、家の棚がいっぱいになるくらいあったんです。それをよく父と見ていたので、それが影響しているかな。カンフー映画からラブストーリー、ヒューマンドラマ、SFアニメなどいろいろ見ていましたね。でも、当時はつくり手目線では見ていなくて、こうした経験が生きるようになったのは、入社してからですね。チェックを受けているときに先輩から「この映画観たことある?」「あのシーンがまさにこれだよ」とか言われて、すぐに合点がいくこともあります。
HALに入学する前はごく普通の高校生で、映像のクリエイターになろうとはまったく考えていませんでした。3年生になり、親の言うように大学を受験しましたが落ちてしまい、落ち込みましたね。2年くらいアルバイトをして、あてもなくお金を貯めていましたが、そんな時、ふと目に入ったのが、HALのCMでした。「こういうことを勉強する場所があるんだ」と、初めて知ったんですね。これまではこの業界の仕事について調べたことがなく、単純に「ゲームが好き」「映画が好き」という意識しかありませんでしたが、「考えてみればそれをつくる人がいるよな」と思いました。HALについて調べるとすごく設備も整っているし、いい学校だということがわかったので、入学を決意しました。

同じ志を持った仲間と切磋琢磨できる喜び

学校生活は楽しかったですね。やはり自分が興味のあることを学ぶ場所ですので、周りも同じ志を持っているわけで、話も合うし楽しかったです。特に楽しかったのは、4K映像が世に出始めた時期で、それを学生たちのチームでつくるプロジェクトでした。ドローンとGoProを使って主観(鑑賞者の目線)での4K映像をつくろうということで、緑豊かな孤島で、私が頭にGoPro巻いて歩く役割を担い、島を練り歩いて撮影して、それを持ち帰って映像にするという経験がとても楽しかったですね。こうした経験でコミュニケーション能力を培うことができましたし、今の仕事でも周りの人と連携を取る上で役立っていると思います。
学生生活で最大の転機となったのは、HALが開催している『就職作品プレゼンテーション』への参加でした。業界の有名企業の方々を学校に招いて、学生はひとり1人ブースを設けて自分のスキルを発表するというものです。自分の能力を客観的に評価してもらいたいという思いもありましたが、思いがけず数社の企業の方に声をかけていただくことができました。その時の縁もあり、現在の会社に入社することができました。
HALは、現場で仕事をされている方たちが指導に来てくれるので、本当にすごい。いろいろな分野の一流の方たちが揃っている印象でした。モーションキャプチャースタジオがあるなど、設備も整っているので、今思えば、もっと活用すべきだったなと思いますね。
この業界のプロを目指す方は、学生のうちに自分のやりたいこと、得意なこと、見て欲しいスキルなどを見つけてそれを突き詰めることをお勧めします。そして、スキルを磨き、個人制作をたくさんして、先生や学校の機材などをフル活用してほしいです。また、同級生と仲良くしてほしいですね。HALでは何度もチームを組んで何かをつくる、話す機会があるので積極的に交友関係を深めたほうがいいと思います。同じ志を持った友人は、卒業後にもいい刺激を与えてくれる存在になりますから。HALは自分次第でいくらでも成長できる場所だと思います。

PROFILE
畑 慎一郎
株式会社デジタル・フロンティア
CG制作部 アニメーションディビジョン
アニメーションチーム
チーフデザイナー

CG映像学科(現・CG・デザイン・アニメ4年制学科 CG映像コース)/2016年卒業


高校を卒業後、HALへ。在学中の『就職作品プレゼンテーション』でデジタル・フロンティア他、数社から高い評価を獲得。2016年3月に卒業後、同社に入社し、モーションデザインの分野で活躍している。

会社概要

株式会社デジタル・フロンティア
最新の映像制作技術を駆使し、フルCGのアニメーション映画をはじめ、TVドラマ、ゲーム・ムービーなど、実写、アニメを問わず、さまざまなジャンル、規模の映像作品を手がけている映像制作プロダクション。細田守監督の映画作品や人気ゲームソフトなど、数多くの話題作の映像を手がけている。