授業

2019.10.17

モリサワ×HALフォントコンテストを開催!モリサワフォントの漢字をグラフィックで表現しました

日本を代表するフォントメーカー・株式会社モリサワとの産学連携プロジェクトとして、デザインを学ぶ2年生を対象に、モリサワフォントの漢字をイメージしたグラフィック作品のコンテストを行いました。学生たちはモリサワフォントの中から漢字1つを選び、「漢字の感じ」を表現する作品を制作。モリサワ様によって審査が行われ、優秀作品に選ばれた学生には「MORISAWA PASSPORTアカデミック版」が副賞として授与されました。 株式会社モリサワは「文字を通じて社会に貢献する」という理念の下、様々な書体を開発し続けており、日本における「文字」のシェアは80%と、フォント業界の最大手です。今回のプロジェクトでは、デザイナーを志す学生にとって大切なフォントの知識を、モリサワ様に直接教えてもらえる、実践的なプロジェクトになりました。優秀5作品を講評とともに紹介します!

🏆優秀賞(副賞:MORISAWA PASSPORTアカデミック版)

林 大智 選んだ漢字:「壊」UD新ゴシック コメント:「壊す、壊れる」という言葉の意味を考えた時に、最初に浮かんだのがブロックでした。おもちゃやレンガ、コンクリートなどの四角くカドが立っているイメージをフォントで表現しようと思い、UD 新ゴシックを使用しました。バランス調整が意外と大変で、先生のアドバイスもいただきながら試行錯誤しました。「壊」の字の形をした建物が壊れたらどんな感じに壊れていくかを想像しながらの作業は、想像力が発揮できてとても面白かったです。 講評:「壊」という字を壊す、というシンプルな表現ですが、壊れているように見えつつも、きちんと元の字が理解できるバランスで成り立っているのが良かったです。あえてUDフォントを壊す、という発想も面白く感じました。

禹 芝文 選んだ漢字:「延」モアリアR コメント:「延」の文字の形から感じたリズム感を表現するために、エレメントの強弱と線にリズム感があるモアリア書体を選びました。文字の線をのばしたような形に変形させて、「延ばす」という意味が伝わるようにしました。そして、文字の一部を少し画面の外側において、画面全体のリズム感と変形をさらに強調しました。 講評:「延」の文字から感じたリズムと、「モアリア」自体のデザインの面白さ、軽やかさがマッチしている作品だと感じました。ウエイトの選択、白黒の使い方や配置もよく考えられています。

小倉 靖広 選んだ漢字:「膨」トンネル 細線 コメント:画線と画線の重なりがくい込んだような感じが立体的に見え、極太のゴシック体がもつ愛らしさと人の目を引き付ける力強さが文字にマッチしていたので、この書体を選びました。風船のように膨らんだ表現を出すため文字を丸くし、少し上にあげ浮いている感じを出しました。少し斜めにして見栄えの良い構図にしました。 講評:「トンネル 細線」の食い込んだようなエレメントを生かしながら、インパクトあるポップな作品になっていると感じました。文章も的確で、同じ「トンネル」でも、「太線」ではなく、より立体感の強い「細線」を選んでいるのも、納得感がありました。

白石 睦実 選んだ漢字:「剥」ヒラギノ角ゴ コメント:壁面に貼られたポスターやテープが剥がれる様子を表現するため、直線的で肉厚、かつ平面さを感じさせるヒラギノ角ゴを選びました。正面からではなくパースをつけて壁を斜め横から見ているように構図を調整し、一部を剥がして前に垂らすことで漢字の意味と立体感を表すことができたと思います。 講評:一目で何を表現したいのかがわかりやすく、平面的だが先端が少しだけ広がるような「ヒラギノ角ゴ」のエレメントをよく観察し、物理的なイメージが広がる書体を選んでくれたのだろうと感じられました。

小林 大輔 選んだ漢字:「映」カクミン コメント:映写機をモデルに、機械の直線な部分をゴシック体、機械の部品を明朝体のウロコで表すことができるカクミンを選びました。央の部分で映写機本体、日の部分で映写機から出ている光を、日の左の縦線はスクリーンをイメージして表現しました。横構図にすることで光が進んでいることをより分かるようにしました。 講評:「カクミン」の明朝体とゴシック体の特徴を併せ持つ形を理解し、今回のテーマに選んでくれたのが評価ポイントでした。光が伸びているスクリーンの表現が面白いのですが、映写機の表現については、もう少し工夫の余地があるかもしれません。

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