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7th check
第九話 限界突破
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TEAM NAGOYA篇
振り返るより、今はただ前へ


名古屋チームのメンバーにも、しだいに疲れが見えてきた。

就活の準備も、授業の課題もあり、時間が足りない。

そしてどんなにスケジュールが迫っていても、岩本監督のチェックには一切の妥協がない。

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「もうムリ」「限界だ」作業中のメンバーから弱音が漏れるたびに、映像チームのリーダー・山口雄大はハッパをかけ続けた。



「まだ学生のクオリティだ。

限界なら、その限界を超えよう!」

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リーダーとして、他チームに比べて出遅れてしまったことに責任を感じていた山口。

遅れを取り戻してきた今、メンバーを頼もしく思う反面、最初からコミュニケーションが取れていたら…と思う。

後悔がないわけではない。

それでも後悔に打ちひしがれるのは、やり切ったと言えるまでやり切ってからにしようと決めた。

誰よりも山口自身が、限界を超えたがっていた。



残された作業日数が少なくなるほどに、「もっといいものを創りたい」という想いが強くなっていく。

TVCMが世の中に流れれば、厳しい評価も、批判もあるだろう。

でも、「学生がつくったからこの程度」なんてことは、絶対に言わせない。

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山口の情熱が疲れきったメンバーを奮い立たせる。

冷めかけていたチームのモチベーションは、再びその熱を増していった。

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120日間におよぶプロジェクトの激闘が、いよいよ終わろうとしている。

運命の納品日は、もうすぐそこまで迫っていた。


映像チームからサウンドチームへ、闘志は燃え移る

その日、映像チームから受け取った映像を見て、サウンドチーム・寺田宙生は驚きを隠せなかった。



「音が、映像に“喰われて”いる・・・」

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納品直前のこのタイミングで、映像チームから上がってきた映像のクオリティが格段にアップしており、
音の演出が映像に完全に圧倒されていた。

サウンドチームは、自分たちにできる最高の音を創っていたはずだった。

しかし、最後までクオリティを突き詰めようとする映像チームの情熱は、ここにきてなお、想像を超えてきた。



数時間後、誰が言うでもなく、サウンドチームはプロジェクトルームに集まっていた。



「音をぜんぶ創り直そう。

僕らもこれを超えなきゃ、ダメだ。」




すべての音をつくり直すには、残された時間はあまりにも少ない。

すでに提出済みの音で「間に合わせる」ことは充分にできる。

それでも、メンバーの想いは1つだった。



新たな音をつくるべく、機材に向かう者。

そのために必要となる素材を検証する者。

寺田もすぐに作業に取りかかった。



映像チームがプロジェクト序盤に味わった、焦りや屈辱を、サウンドチームは経験していない。

しかし、彼らもまた、映像チームによって自分たちの覚悟が足りないことを痛感させられた。



傷だらけになりながらも一途に戦い抜く、名古屋チームがつくるTVCMの世界観。

それを体現するかのように、彼らもくじけては立ち上がる不器用な前進を、最後の最後まで続けているのだった。


その時、他の2校は・・・
TEAM TOKYO篇
自分の殻を打ち砕け

サウンドチームが制作した音、そして火花などのエフェクトが加わり、映像が迫力を増している中、アニメーションになかなかOKが出ない。

納期への不安と戦いながら、敵機を殴りつけるアニメーションを担当する志摩駿宙は悔やんでいた。

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「自分がロボットについて詳しくないことを、逃げ道にしていた。」



ロボットについての知識が少ないことで、チームの足を引っぱるのが怖かった。

しかし、そこに甘えていなかったか。

知らないとか、恥ずかしいとか、そんなことはもう言っていられない。

プロになったとしても、自分の得意分野の仕事だけができるとは限らないのだから。



「僕のせいで、チームの努力を水の泡にするわけにはいかない。」

どう動けば、よりカッコよくなるか。

デスクで自分の拳を振り回し、自分の体で確かめながら、リアルな動きを必死に研究し続けた。

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「よく動いてる。いいんじゃないでしょうか。」

最終チェックに訪れた岩本監督からOKが出た瞬間、プロジェクトルームは拍手に包まれた。



納品に向けて、背景のディテールをさらに高めるようにと岩本監督の指示が飛ぶ。

東京チームのプロジェクトも、ついにラストスパートに差し掛かっていた。


TEAM OSAKA篇
己の弱さを、認める強さ


納期に向けて作業を続ける東京・大阪・名古屋の各チームに、岩本監督からある判断が告げられた。

「エフェクトに実写素材を組み合わせましょう」

実際に撮影した煙や炎の映像を加工してCGのエフェクトを作成すると、CG映像はよりリアルなものになる。

映画やTVCMの制作現場でもよく使われるメジャーな手法だ。

しかしその決断に、大阪チーム エフェクト担当の山根光だけは、敗北感を噛み締めていた。

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山根は大阪チームのエフェクト制作を、ずっと1人で担ってきた。

だからこそ、こだわりたかった。

実写素材を使わずに、実写に負けないフル3DCGのエフェクトを、自分の手でつくりたかった。



「最後まで僕につくらせてください。」

今までの自分だったら、そう言っていたかもしれない。




しかし、今やるべきことは、
もっとクオリティの高い映像になるように、チームのために最善を尽くすこと。

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「大丈夫か?」山根を心配したメンバーの声に笑顔で応えると、
山根はさっそく実写素材の合成に取りかかった。

この段階に来てさらにリアル感を増していく映像にメンバーが沸く。



今はまだ、これが自分の実力だ。

でも、いつか超えてみせる。

山根はこの悔しさを心に刻み込むのだった。

Pro's Voice
岩本晶 納期を守ることはもちろんですが、
クライアントの想像以上のものに仕上げることも
プロのクリエイターとしての使命。
最新の仕事が常に最高の仕事になるように
自分の限界を突破し続けていかなければ、
プロであり続けることはできません。


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